【書評】「生産性」伊賀泰代 著 を読んで
今回は、本を読んでの感想を書いてみたいと思います。
読んだ本は、こちらです。
内容紹介
いまの「働き方改革」において、最も重視されるべきは生産性である。
かつて日本企業は生産現場での高い生産性を誇ったが、ホワイトカラーの生産性が圧倒的に低く世界から取り残された原因となっている。
生産性はイノベーションの源泉でもあり、画期的なビジネスモデルを生み出すカギなのだ。
本書では、マッキンゼーの元人材育成マネージャーが、いかに組織と人材の生産性を上げるかを紹介する。
日本が世界に比べて差が大きいものが、「リーダーシップ」のほかに、この「生産性」であると筆者は言います。上司が帰らないと帰れない雰囲気や生産性の低い議論とは対極にあり、「生産性が大幅に上がるなら従来のやり方に固執する必要はない。リスクを取ることも厭うべきではない」というような考え方は、生産性を判断基準としているからこそだと。
生産性とは
そもそも生産性とは、「成果物」と、その成果物を獲得するために「投入された資源量」の比率として計算されます。式で表すと、
【生産性=得られた成果/投入した資源=アウトプット/インプット】
つまり、生産性を上げるには、「成果を上げる」か「投入資源量を減らす」か。さらに、それぞれを達成する手段としては、全部で4種類存在します。
①インプルーブメント(改善)により、投入資源を小さくする
②イノベーション(革新)により、投入資源を小さくする
③インプルーブメント(改善)により、成果を大きくする
④イノベーション(革新)により、成果を大きくする
どうしても、日本は製造現場における改善っから生産性という概念(①)が普及していますが、特に弱い部分は、改善運動による価値の向上を図ること(③)や、イノベーションによる新技術や発想の転換を用いて、成果を上げたり(④)、コストを下げたりすること(②)であると言います。本当に必要か?やらないことは何か?違う切り口で考えられないか?そぎ落とすことで付加価値が上がらないか?など様々な疑問を持ちながら生産性を意識したいものだと感じました。
生産性の高い会議の進め方
これらの考え方をベースに、様々な生産性向上の事例や評価方法、組織としての生産性についてなど語られていますが、私は一番に「会議の進め方」について印象に残りましたので、少しご紹介します。
会議においての生産性は、「今は会議時間を短くすることが大切なのか、それとも会議の成果を高める方法を考えるべきときか」という視点を持ち、その会議の目的に合わせて会を作ることが重要であると著者は言います。当たり前といえば当たり前なんですが。。。ムダな会議って、本当に多いですよね。どうすれば、より効果が上がる会になるか?を一度仕切りなおす必要があると思います。
達成目標を明確にする
会議の生産性を高めるには、「最初にアウトプットを具体的にイメージする」ことが有用です。この会議では、「意見を出し合う」のか、「予算総額を決めないといけない」のか、「この会議で何を達成する必要があるのか」という会議の達成目標を具体的に明記すると、会議の生産性が上がります。
「会議の議題一覧」と「会議の達成目標」との違いは、以下の通りです。
本日の会議の議題一覧
- 来月の○○発売三周年記念イベントについて
- 先月発売された○○の販売実績の報告
- 来月実施予定の市場調査の方法について
本日の会議の達成目標
- 来月の○○発売三周年記念イベントの、メインの出し物の素案出し
- 先月発売の○○の販売目標未達の理由の共有と今後のてこ入れ策の決定
- 来月の市場調査を○○リサーチ会社に発注すること、および、調査内容の詳細の最終確認
上記の下の例のように、達成目標を具体的に明示しているだけでも生産性は大幅に上がりそうですよね。これまで、効率のいい会議とは、往々にして、参加者が目的を事前に理解し、会のゴールがイメージができているときです。私の社内の会議でも、「結局、この会のゴールなんだっけ?」と途中で思うことがあり、だいたいそういうときは長引きます。
そもそも、大半の会議は次の5つのどれかになるそうです。これらのうち、目的別に最も生産性が高いと思われる方法を類型化しておけば、会議の生産性がさらに引き上げられるイメージがわきます。
- 決断すること
- 洗い出しすること(リストを作ること)
- 情報共有すること
- 合意すること=説得すること=納得してもらうこと
- 段取りや役割分担など、ネクストステップを決めること
著者は、人口減少を大きなチャンスととらえ、日本人、日本企業、そして日本社会にとっては好機であるといいます。確かに、ピンチはチャンスですね。。。
これまでの成功体験にとらわれず、そして、長時間労働に甘んじることなく、私自身「何が問題なのか?」「解くべき課題は何か?」を常に考えたいと思っています。
そして、作った時間で、体を動かしたり、投資の勉強をしたり、ブログを書いたりする時間を1日夜1時間、朝2時間作れるようになる、という自分への戒めのために記事を書いたことをお許しください。